代表野口_黒バック 「今週の一言(いちげん)」第24話10億持っていても不安なのは、将来が見えないからです。

「泣き言ばかりで申し訳ないが、本当に体調が悪くてね、話を聞いても理解力がなくって、書類を読んで理解する力が、本当に無くなってしまってねー。」

 

都市銀行マン2名が、がっかりして今までの説明は何だったのかとしょげています。

時間をかけて投資プランの作成をしてもらったのから、そのプランを聞いてほしいと呼ばれたノグチとしても、どう取りなしていいやら。

 

社長は、「すぐ忘れてしまうので」と書類を持ち、別室の書庫にしまうため席を立つと、頃合いを見たように、娘取締役が小声で話します。

 

父はボケてなんかいないわ。来週、大腸の検査をひかえていているから、それで気が沈んでいるというのだけれど、その検査だって“念のため”。死にたくないからなのよ。その証拠にー。」

 

「いや〜、本当に書類の整理もイヤになってね。」と父社長が登場し、話は途切れました。

 

銀行からアプローチがあったにせよ、プランを頼みたいと返答をして、今回の打合せが、もたれました。銀行担当者も、意気込んで資料を作ったはずです。

わざわざコンサルタントのノグチまでオブザーバーに呼んで聞くと答えたのですから。

 

私自身の経験でも、提案をした方は、がっくりくるパターンの一つです。

ダメでも理由がはっきりすれば、それはそれで明日につながります。

プランの内容について、条件が違う、思っているような成果が得られないのでは、などの反応が社長より出てくれば、それは自分の事前調査が不足、力不足、及ばなかった、でも次回は必ず!とやる気をもつことができます。

 

しかし、反応が「いや〜体調が悪くて〜」、では、真意がどこなのか?

のれんに腕押し

ぬかに釘

 

「いや〜、こんな老人の泣き言を聞かせて悪かったね〜。」に、反発する事もできず、銀行マンたちは汗をふきふき、口をへの字に結んで帰っていきます。

 

娘取締役が、

「体調がワルイなら、いろいろプランを考えるのをやめた方がいいのでは。」

と言うと、

 

「なぜ、お金を大切にしないんだ!天から降ってくるもんじゃないよ!」

 

「ほ~ら、ボケてない!、通帳も絶対渡さないものね!」

 

お金持ちと銀行のやり取り、

20年前のノグチは、「金持ちはイヤな事をするな〜」、と内心思ってました。

お金持ちは、札束で、世の中の人を想い通りに動かしている。

 

10年前のノグチは、「銀行は、ただでお金持ちにプランを提供するけど、結局金利もバックマージンも金持ちは取られるのだから、銀行がいい商売している。」と損得勘定をするようになりました。

 

今確信していること、「将来の希望・夢を持っている人が豊かな人

社長は、夢に向かって進むストーリーが欲しいのです。

社長は、進んでいると確信できる数字があって、初めて落ち着ける。

 

会社も家庭も十分に守れるほどの資産がある、その事は周りからは見えているのに、当の社長さんは、何かに追い立てられるように不安で不安でしょうがない様子です。

自分が仕合せだと思える基準が見えないのです。

 

追い立てられるように、節税に走る。

次から次へと新規事業に飛びつく。

だけど、基本ケチだ、損はしたくない!

 

不安なのです

明日、すべてが思い描いた通りにはなってなくても、5年後、10年後、思い描いた方向に向かっていると確信できる何かが見えないと、不安になるのです。

 

会社の売上業績を棒グラフや折れ線グラフで見る社長さんは多いと思います。

何となく右肩上がり、そんな時、フッと口元が緩みます。

本能的に嬉しい、体が反応します。

 

大きくなりたい、成長したい、と会社を大きくしていた時には、苦しくても不安がない。将来見とおしができていたからです。

ちょっと古い言い方をすると、名を上げ、功をたてても、将来の夢がないと、会社社長も“ぬれ落ち葉”になってしまいます。

 

将来の希望を実現するためには、周りを口説いて、自分の想いを伝え続ける努力が必要です。年齢は?この条件には入りません。

熱意、体力、策略(智慧)を磨いてください。

 

社長が自分の夢を語って、社員を口説かないと、会社はしぼんでしまいます。

社長の熱い想いが、会社を大きくする熱源。

お金はその想いを形にする力です。

 

さて、そろそろ退散と、腰を上げた時、社長から声がかかりました。

「ノグチさん、ありがとう。方向性が見えたよ。何かしなければ、と思い込みすぎていた、焦りだね。今までの対策案の成果を待つ時だね。」

 

そして娘取締役に、

「貴女に残していくのだから、整理しておかないと、貴女が困るでしょう。」

と、娘がぐっとくる返事が返ってきました。