「今週の一言(いちげん)」第59話10億ビジネスを目指すなら、「新しい」を打ち出さないとダメな理由
「親父の時代は人口が増えて売上も伸びた時代ですよね、商品はドンドン売れたでしょう。でも今は人が増えないんですよ。この町でも、大手スーパーが撤退したでしょう。
お客さんの絶対数が増えないのだから、売上は増えないよね。
だけど、コンビニは、確かにお客さん、入っているよね。えっ、理由はなにか?」
社長さんは、決算が来るたびに、顧問税理士も参加いただいて、「決算発表会・新年度予算」を行っています。
しかし、この数年、毎年毎年数字の目標は横ばい状態、です。
父親の代からの顧問税理士からは、在庫の増加で利益が出ており、資金繰りを圧迫している、在庫を削減が必要だと説明されました。
値上がり前に購入すると伝えたのになあ、担当者と先生は話をしているのかな?
売上が伸びる話が聞きたいのになあ。
在庫がないと販売できない機会損失もあると教わったがなあ。
社長さんは、経営学部出身です。
経営で使う「儲かる数字」と、税理士先生の使う「税務の数字」は違います。
税理士先生の「税務の数字」では、棚卸資産の数字は、納税利益を決める数字。
経営で使う「儲かる数字」では、売りたい商品の合計金額が、棚卸資産の数字です。
地域で、お客さんが入っている店舗はありますよね?と聞くと、
「確かにコンビニには入っているね。だけど、お客さんの半分は本の立ち読みじゃない?今は、コーヒーと、昼時の弁当だよね。オレだって立ち寄ると何か買うね。」
日本人は、なぜコンビニエンスストアに行くか?
そこに、新しいモノが置いてあるからです。
そこでは、新しい情報がとれるからです。
友達に自慢できる「新しい」ニュースが、コンビニで得られるのであれば、たまには買うし、ガムだってお菓子だって買うでしょう。
「新しい」を自慢したければ、コンビニにいく人は多くいます。
ともかく「新しい」は、日本人が惹かれる大事なキーです。
「ウチの商売は、新商品ばかり追っかけていられないです。」
確かに、新製品を作ることは大変な労力だし、当社には、大企業のように開発部門はないかもしれません。
別に、新商品を自社で作ることはないのです。
10億ビジネスを目指す経営者にとって大事なことは、常に新しいニュースを盛り込んで、お客様を飽きさせないことです。
商品は自社の商品であれ、他社の商品であれ、それはいいのです。
買ってくれるお客様が、ず~っと我が社のお客様であることが大事なことです。
ところが、不思議なくらいに、今売れているヒット商品が、これからもず~っと売れ続けることを願い続けて、それが目標になっている経営者が実に多いのです。
心理的には、社長のお気持ちが分かりますが、10億ビジネスに必要な事は、
1.お客様との関係性を保つこと
2.儲かる数字を上げていくこと
「新しい」が、お客様との関係を良くして、儲かる数字を上げていっていることを実感出来るように、売上のマトリックス表を作りましょうと提案しました。
商品の売上げを7つに分けて、縦に書きます。
①今年良く売れた商品
②来年度以降売っていきたいと考える主力商品
③前年前々年から売れてはいるが、徐々に売上減少している商品
④売れると思ったがダメだった商品
⑤少ないけれど売上の伸び率がいい商品
⑥イベント・キャンペーンで販売する商品
⑦少量ではあるが、必ず買いに来るお客様がついている商品
横には、購入の頻度に応じた4つの枠をつくります。
1.週に3度以上来店定期購入
2.月に2~3度程度来店若しくは電話・ネット等の注文
3.月1度程度の来店
4.新規
決算書では拾えない、見えない数字ですが、経営を肌で感じている経営者は、概算であっても必ず数字をもっています。
壁の模造紙に、社長さんは数字を書き出しました。
マトリックス表に数字を入れながら、社長の独り言が聞こえます。
去年の定番、今年の定番、売上は変わるな。新しい方がうれている。
やはり新商品イベントはお客さんを集めているんだ。
業者に相乗りするのも良いわけだ。
あるイベントは、仕入業者が新規のお客様獲得になります、と提案してきました。実際に行ってみると、新規顧客を獲得する効果もありますが、当社の優良顧客が楽しみに参加し、さらに購入額を増やしていることが数字から見えてきます。
数字の拾い方を収集の仕方を教えれば、従業員でも「新しい」商品・情報が、お客様のリピートに寄与しているかどうか、確認することが出来ます。
だから、社長が 数字を入れたメッセージを発すると、社員は納得します。
売上とお客様というつよい味方がいると、教えてくれているのですから。
「商品情報でもいいわけですね。お客様に役立つ新しい情報であれば。」
社長!その通りです。
御社の売上に結びつくそして、「新しい」商品情報がいいのです。
顧客が「新しい」と感じていただける商品提案をし続けることが、10億ビジネスへの道筋です。