「今週の一言(いちげん)」第168話能力よりも技能よりも売上をアップさせるもの
FROM 経理の現場から
「この作業は、私がしなければならないことですか?効率化するためにデジタル化すると言うけれど、私の作業時間が増えるだけじゃないですか?」
先週、私は、ある社長夫人から、こう言われました。
消費税導入に向けて、軽減税率対応のPOSレジの導入を始めようと、機種の選定を始めた店舗での話しです。
会計事務所の功罪、カンタン経理は税務申告を簡単に
中小零細企業では、経理と言えば奥さんがする仕事。
社長からすれば、通帳を預けても安心な人は他にいないし、製造も営業も男性と互角に働くわけにはゆかない奥さんを守る意味合いがあるのかもしれません。
社長は製造に営業に会社の命運をかけています。
目的意識があります。
良い製品で、売上をあげることです。
毎日ベストを尽くして、事業に邁進している。
社長は、そうでなければなりません。
従業員も家族も養っているのは、俺だ!からです。
しかし、銀行のことは、ま~必要だからやるけど、経理はやっておいてくれればいい仕事。
つまり、軽い仕事だから、片手間にできる仕事だから、自分が関わる必要はない。
そう、考えているのかもしれません。
「経理と言ったって、会計事務所に渡す前に、領収書を貼って、通帳どおりに帳面に書いてるだけだよ。
別に手形を回しているワケじゃないから、簡単なんだよ。」
圧倒的多数の小規模事業の経理は、たいした仕事はしていない。
当然でしょう、小規模事業で手形を取引に使っていたら、それこそ倒産一直線です。
経理なんて会計事務所に資料を渡すための仕事だ、と決め込んでいるのです。
目的を明示せよ!
POSレジは、売上アップのために導入する。
経理は、経営管理です。
売上上げると言ったって、どの商品で勝負したいのか、どんな販売方式が有利なのか、判断は数字です。その数字を教えてくれるのが、POSレジから見える資料です。
会計事務所が作ってくれる、試算表・決算書の売上総額や、消費税の課税非課税の区分からは、売上アップの要点は見えません。
どの商品が1番粗利をもたらしているか?
多くお買い上げのお客さんがどれとどれを組み合わせて買っているか?
伸びてきている商品はどれで、衰退している商品はどれか?
会計事務所の担当者が、社長の一押しの商品が何個販売できて、粗利がいくらか、知ってますか?
どんなお客様が買って行ったか。
購入の背中を押したのは、どんな言葉かけだったか。
総額表示されている試算表ではわからないのです。
現場の数字が、現場の情報集めがこれからの商売には、必須事項なのです。
数字集め、情報集めは会社の重要課題です。
そうでなければ、大手事業者がやれSNSだ、やれAIだ、と騒ぐはずが無いのです。
自らの売上アップに何が必要か、そうです、お客様を知る事が必要です。
それが、数字を知る意味です。
PS・
経理担当者から社長に現場の数字を報告する仕組みをつくると、社長から、「この数字を知って、売上が上がった。」と喜ぶ声が上がります。経理担当も、充足感を得るし、良い気分になるのは当然です。仕事で行ったことが価値あるものだと感じられることが重要です。あなたの奥さんは単に買い物や旅行のために自分の時間を売っているわけではないのです。