「今週の一言(いちげん)」第19話社長さんが、奥さんに頭が上がらなくなるたった一つの原因。
「女房が、400万円の出資を許さない!というのです。その前の1億円の出資はOKで、その後の400万円はダメって、どういう意味なのか、、、?変でしょう?理由が分かりません。」
ノグチさんちょっと相談なのですけれど、とやってきた生活関連事業の社長さん。左前になった同業者からお客様ごと事業を引き継ぐ計画を持ち込まれ、交渉に交渉を重ねて400万円でと話がついたのに、奥様からの猛反対に不満いっぱいです。
どういう理由でその事業がほしいのですか?とたずねると
そりゃ、安いから。確かに今は損失が出ているけれどウチがやれば利益出せますよ
うちはこの事業をやれる人材が一人たまたま余っているんです。
ちょうど折よくこの事業を任せられる。
では、奥さんがこの出資に反対している理由は具体的に聴きました?
う〜ん?はっきりしない。
この案件はね、今後の事業展開の第一歩なんですよ。
社長さんは、新たな事業展開をいきいきと話始めました。
現在の事業が、より地域の人たちの役に立つし、需要も喚起できそうな事業展開なのですが、ただ一つの難点は、事業に必要な新規の賃貸案件やら、購入案件やら、どうもイニシャルコストがかかるなあと言う点です。
ノグチ、どうやったら儲けられるか、一生懸命考える社長さん、大好きです。
彼らは、なにかたのしい案件がないかと、いつもアンテナを張っています。
社長さんは、自分の私服を肥やしたいというより、気のあった社員達と一緒にする仕事のワクワク感・緊張感が好きなのです。
新しい案件が見つかると、まず腹心の部下に話をします。
この腹心が全く話に乗らないと3番手に、4番手に、と話をしてみて、事業が乗っかるかどうか反応をみます。
今回も、腹心の部下に話をしてみました。
すると、彼はいい話ですね乗ってきました。投資金額が安いのがイイというのです。
これはゴーサインだ、とばかりに資金管理をしている奥さんに支払予定を依頼したら、なんと「そんな出資はもうたくさん!!」と
資金を預かっている奥さんは、常に取引先や銀行、従業員への手当てなどこれからの支払に頭が一杯になっています。
そこへ持ってきて、どうやら社長さん、奥様の地位を高めてあげようと一億円の出資を奥様名義の資金で行っていたのです。
もちろん資金について、本人の了解を取っているというのですが、
「社長、今回の事業に賛同してくれた奥様に感謝の言葉を伝えましたか?
ちゃんと目を見て、愛している奥さんと一緒にこれからの事業を成功させて充実した人生を送りたいから、この事業を一緒にしようと話しましたか?」
「いやー、ちゃんと思っているよ。だから、子供の面倒も見てるし。」
「言葉に出したかどうか?聞いているのです。」
「……、事業を一緒にする仲間と奥さんは違う、奥さんには事業の端々まで話しているのだけれど、困ったことしか話してないのかもしれない。」
正直な社長さんです。
日本には、苦労している自分を見ているのだから、一番に我慢するのは女房だという昭和の社長さんが、現在も生息しています。
平成の社長さんであっても、言わなくてもイイ事はなるべく以下省略!
という方が結構います。
女房には話さないけど、従業員にはちゃんと、、、ということは人間できません。
女房が聞きたくないと思うのは、社長の話が「一緒に実現したい夢」ではなくて、「自慢話」ばっかりに聞こえるからです。
同じ事を実は従業員も感じています。だから側に寄りつかない。
ノグチの顧客会社に、「ウチの社長は天才!!」と語った事務員さんがいます。
「天才ぶりをおしえてよ。」ときくと、
「だってね、にこにこしながらこの仕事面白いだろう、ほらこれも、あれもって、どんどん仕事の話をしだすの。それがとっても嬉しそうで楽しそうで、私も嬉しい」
事業の話は面白くない、金儲けの話なんて従業員にはつまらないと決めつけているのは、実は社長さんご本人だったり、専務や取締役や資金を預かる奥さんだったり、します。
話す本人が面白くないと思っているのですから、聞いたほうも面白くなくて当然。
ですが、生き生きと事業の話をしている社長さんには、夢はちゃんとあって、きっかけがあるとどんどん出てくるのです。人は夢に惹かれます。一緒に夢見ます。
そこでノグチ、社長さんに魔法をかけました。
「明日、社長の思っている事業計画をぶち上げてみんなの前で話してください、そのあと、お金の話を受け持ちますから」と。
そして翌日、会社の会議室、魔法は解けません。
それどころか本当に皆が目をキラキラさせて事業計画が盛り上がりました。
奥さんも納得して、これからの仕事に張り切るわ!と話されました。
大事なのは、社長さんの夢、そしてそれを言葉で伝えることです。