「今週の一言(いちげん)」第52話社長、「いい会社にしたい」、と思ったら「いい人」は返上です。
「現場が大事だから、現場の意見を聞いてみようと思って、幹部勉強会を始めたんですよ。ところが幹部が、大変でやめたいと言い出して。
そんな勉強会なら現場が悲鳴を上げているということで、辞めにしました。
しばらくしたら、若手社員からは、楽しかったと、、。」
社長の耳にも、幹部社員の仲がよくないと評判が届いていました。
売上成績が毎年昨年並み部署は、なぜか幹部社員同士の仲が悪いものです。
当然社員同士も仲がよろしくない。
しかし、社長から見れば、幹部社員は古参の社員ばかりです。
ずっとそれぞれの分野で社長を支えてくれました。
できれば、古参社員皆を順に役員にして定年退職させたい、そう願っています。
社長へは皆礼儀を尽くして対応してくれています。
社長と一対一なら、みないい人です。
それぞれ、得意分野もあって、人柄も悪くないのだから、機会を作ればいいのです。
そこで、工場の幹部社員が出席する生産性向上会議を立ち上げました。
最初の議題は、「工場の5年後ビジョン、目標の共有」です。
早速、工場の幹部から大きな売上目標が飛び出しました。
これで進めていけばいいのかと、思ったのもつかの間、出席した一人の部長から社長にあんな難しい目標を設定する会議にはついていけないと申し出がでました。
また、振り出しです。
「現場を大事にするイイ会社」というフレーズがあります。
従業員を大事にしている会社と読み替える方もいらっしゃいます。
しかし、現場が大事なのは、お客様と接しており、お客様の役に立っているかどうかがハッキリ見えるから、です。現場が大事はお客様が大事と同じ意味です。
イイ会社とは、「儲かり続けて、つぶれない」会社です。
お客様の役に立つ仕事をし続けている、だから利益を得られる。
利益があるから、従業員に給与が払い続けられるし、従業員も安定して働ける。
結果として従業員は、安泰です。
誰でも皆「会社に入っていれば、安泰だ」と考えます。
会社が、給与を与えてくれて、仕事もさせてくれるからです。
社長の顔が「お札」に見えるかもしれません、だからいつもにっこり頭を下げます。
しかし、お金はお客様からいただくもの。
社長と同じ視線の先にいるお客様に向かって頭を下げるのが、基本です。
売上を上げる努力、お客様に向かうのが、いの一番のハズが、社長の顔色を見る努力に、すり替わってしまったようです。
社長は、現場が大事だと毎日のように現場に顔を出していました。
夕方工場の入り口に立っていると、社員がにこにこ挨拶をして通ります。
時に、社員から直接、こういうアイデアはどうでしょうと、声がかかります。
大きな目標も、時に社長の顔色伺いで打ち出される事があります。
出来る出来ないの議論は、時にやる気のある無しにすり替えられて、反論を押しつぶしてしまうことがあります。
従業員の意見を聞いている「イイ社長」を演じていると、社員は勘違いをします。
イイ会社とは、社長が自分たちを食わせてくれる会社だと。
何度も言います、イイ会社とは、お客様がお金を払ってくれる会社です。
経営者は、お客様も従業員も取引先もみな守らなければなりません。
責任があって、孤独です。寂しいと感じるものです。
つい、「いい人」になって従業員と一体感を味わいたいと思うのも人情です。
経営は、世のルール通りを守ること。から進みます。
お金は、お客様からいただくモノです。
お客様に役立って、初めていただけます。
世のルールどおりであれば、お客様からお金をいただいてから、サービスを行った従業員が給与をいただく、のが筋です。
厳しい言い方ですが、銀座では、今だのこのルール通りの業種が存在しています。
社長がすべきことは、「社長が作りたいイイ会社」を明確な数字にする事です。
社長の夢とそれを実現する現場の数字を社員に話すことです。
現場の数字で成果を計る仕組みを作る事です。
若い従業員が、期待したのは成果を数字で計ってくれる仕組みです。
自分の働きが、どう成果にむすびつくのか、もっと会社も自分にも成果がほしいと感じている世代が育っています。
働きがいのある会社とは、売上を上げている会社です。
利益を出し続けている会社です。
長時間労働でなくて年功でもなくて会社の成果で、給与体系の数字を明示する会社です。
経営は、数字で評価されます。
イイ会社を作る社長さんは、数字を自分の武器に出来る人です。