「今週の一言(いちげん)」第60話数値化すると、社長も従業員もモチベーションが上がるその理由
「営業なんて、最初はほとんど門前払いですよね。
断られ続けたら、誰だってイヤになりますよ。
だから、10件ごとに、ホームページの話からはいったらとか、野球からはいったらとか、テーマを決めて入り口の話を作っていくように、指導しているんですよ。
チーム内でどのテーマの反応がいいか、投票もします。ゲーム感覚ですよ。
まずは、楽しまないと、続きませんよ。」
壁に貼られた模造紙には、売上の棒グラフと思いきや、テーマごと棒グラフ。
同じテーマのセールストークごとに、次のアポイントが取れた数で棒はのびます。
部署でネタを出し合って、セールストークを練り上げます。
自社のパンフレットを持って行って、すぐに商談に入れる、そんな営業は皆無。
話を聞いてもらうには、相手の興味の或る話題だと言うことが何より大事です。
営業は、何度でも繰り返し会える関係づくりが一番の目的です。
「じゃ、お客さんが興味を持つテーマを競おうよ。」
「どんなテーマで切り込むと話がしやすいか、比べてみよう。」
「どうせだから、今週の一番を表彰してみない?」
この会社では、新規を獲得するのに、営業のどのやり方がいいのか、数字で処方箋を作り直し続けています。
ゲーム感覚にしてどうすれば楽しくできるか考えているのです。
人は「能率よく物事をこなしたい」と思っています。
誰でも優秀だと思われたいし、信頼されたいし、ほめられたい、のです。
毎日の仕事で、褒められ有能だと評価される事に結びつかないと思えば、手を抜きたくなるのは、しごく自然の現象です。
チェーン店での出来事です。
若い店長が、仕事をさぼったと従業員に手を挙げてしまいました。
従業員は、「こんな仕事のために、早朝出勤なんて馬鹿だ!」とティシュを投げつけ、喧嘩になったのです。
ポケットティッシュの配布が功を奏した時代がありました。
でも今、ティッシュを配布しても新規の顧客はとれません。
新規顧客が0と数字に出ているのに、続ける理由があるのか?
理由が、分からなければ、従業員はテキトーにさぼりだします。
会社が、従業員にして欲しい行動はなんですか?
売上アップに繋がる行動ですよね。
売上アップに繋がる行動は自社製品の売込みですか?
いいえ、顧客が、この担当は自分の事を大切に扱ってくれていると感じられる行動。
してほしい行動を明示して、その行動を数えて褒めると、従業員は嬉しい。
皆の前に見えるようにその数字を表示するだけで、誇らしく思うものです。
数字というとすぐに売上金額や粗利益率をおもいおこしてしまいがちですが、それらは、現場の社員を直接動かす数字ではありません。
現場の社員を動かす数字は、してほしい行動を数えた数字です。
業績が振るわない会社は、
「今月は残念ながら売上目標を達成できませんでした。来月は頑張りましょう。」
と決まり文句の話で終わる営業会議をしている会社です。
売上目標未達の原因がどこ行動にあるのか、ハッキリ見せないから、業績はdown。
①契約
↑(契約率・成約件数)
②見積書作成件数
↑(見積書作成率)
③提案書提出件数
↑(提案書発行率・件数)
④再訪問アポイント件数
↑(アポイント率)
⑤訪問件数
(ターゲット訪問件数)
仕事にはプロセスがあります。
それぞれのプロセスごとに、何をいつまでに誰がどういう仕事を完了すべきか目標の数字がついて回ります。
売上が達成できないとは、どこに問題があったのか、そもそもの訪問件数なのか、アポイント率なのか、見積書発行率なのか、成約率なのか?
言葉は難しい、でも数字は難しくありません。
御社の数字です。御社の中で一番うまくいった数字を使うのです。
御社の数字を数えれば、御社の営業のやり方そのものが、高度化していきます。
原因をはっきりさせると、対策が具体的に話し合えます。
一番影響力のある数字を、明確にすると、解決へ従業員は動きします。
数値化する、とはしてほしい行動を明確にして、それを数える仕組みを作る事です。
数えるだけで、従業員のモチベーションが上がります。
喜ばれれば、嬉しい。
しかも利益が上がる行動をするのですから、社長も嬉しい数値化です。