「今週の一言(いちげん)」第119話優秀な経営者が売上を伸ばしたい時、一番初めに行うプロセス
「とはいえ、私一人ではらちが明かない、みんなで手分けしてやっていこうと声は掛けました。けれで、パソコンを扱える従業員は、体調を悪くして仕事はセイブしなければなりません。
ですから、数字のことを言われても、私はできませんし、得意でもありません。
仕事を人任せにするつもりはありませんが、操作できないことは致し方ありません。」
「経理は、会計事務所の先生が毎月来てくれていますよ。だけど、この売上ではダメですねと言うばかりで、ちっとも教えてくれないんですよ。
経理担当?女房ですよ。
売上?パソコンで集計してます、担当はやっています。
担当は、いま体調不良ですが、データはあります。
先生、何とかして下さいよ」
「手元資金を増やすセミナー」に参加された経営者から、ありがちな連絡が来ました。
大変イイ話を聞いて、経営者として目が覚めました、ありがとう。
ついては、経理をやってほしい、今の先生に払っている金額と一緒でイイですか?
評価をいただいたのは嬉しい事ですが、弊社の業務は、御社の最高益を10倍にすることです。税務の申告はいたしません。
今までご世話になった税理士先生を足蹴にするようなことはしないで下さい、とお伝えしました。
売上が伸びず、どうすればいいのか悩んでいるのに、税理士先生から正論を言われると、それは、頭に来ます。
怒り心頭になります。
「分かっているよ!だから人件費も節約して自分でいろいろな仕事こなしている。
宣伝だって自分でチラシ配布している。
でも思うように伸びないから苦しいンじゃないか!
カネ払ってまで怒られたくないや!」
どうやら、税理士さんから言われた言葉に反応してしまったようです。
売上不調の時に試算表を見ても、そこに答えは出ていません。
売上不調の時には、税理士さんが使わない別な数字が必要です。
さて、ノグチのお客様には、優秀な経営者=売上をコンスタントに伸ばしていく社長さんが、いらっしゃいます。
ある時、どうして社長は売上をコンスタントに伸ばせるのですか?と聞きました。
「売上に苦しまない社長なんていないよ。俺だっておなじだよ。
でもね、俺は、四六時中売り上げのこと考えてるから、そこに自信があるの。
俺ほどお客さんのこと考えている社長はいない!と断言できるほど考えているよ。」
売上が低迷する部門があると、売上コンスタント社長は、まず現場を見に行きます。
と、売上低迷中の工場の前には、搬入の車が数台並んでいます。
事務所の自販機から缶コーヒーを買うと、社長は並んだ搬入車両に近づき、
「いつもありがとうございます。時間がかかってすみません。これ飲んで」
満面の笑みを浮かべて缶コーヒーを手渡しました。
「ともかく笑顔で聞いてみる。聞いてみるしかないんだよ。俺は絶対4人の人に聞く」
「ニコニコしてなきゃ誰も話なんてしてくれないよ。こっちの耳に痛い話を教えてくれる人には、特にニコニコしてさ。相手は運転手でもお客様の会社の人だからね。」
運転手や掃除のおばちゃんに缶コーヒー渡してニコニコしてる馬鹿社長だと思われてもいいんだよ。現場のしたっぱ、役職ない人は本音の話をするよ。だから誰がキーマンかすぐわかるんだよ。100円で10万の取引は効率いいよ。」
聞いて回る、見て回ると、ライバルの出現があったり、自社のミスがあったり、それこそ市場の変動・縮小・変化・新たなニーズに対応できないなど、原因が見えてくる。
そこで、初めて個別の売上実績と合わせて売り物を絞るんだといつも話されていました。
さて、件の社長さんに、お客様との会話について尋ねました。
「お客さんから言われる言葉なんて、『ご苦労さん』ですよ。みんな講師の方ばかり向いていて、オレがオーナーだなんてわかっていないんだ。」
もしかして、社長さん不機嫌な顔しているのではありませんか?
お客様を前にして、本音「なんだこいつら、俺の方が偉いんだぞー!」とか、「もっとたくさんうちにカネ落とせよ!」と思っていたりして…。
このシーン、客観的に見たら、社長が問題です。
ところが、社長は別なところに問題を探しているようです。
社長さん、お客様との会話で、どこが嫌だと思ってらっしゃいますか?
お客様が自分以外の従業員を褒めたことですか?
それとも、お客様が、社長さんに「ご苦労さん」と声をかけたことですか?
お金が足りない、売上伸びない、本当は苦しいのに、お愛想笑いをしている社長に気づかないことですか?
お客様がもっと買ってくれれば、うちは楽になるのに。
身なりはきちんとしてなくては、と無理して頑張っているのに気づいてくれない。
もっと友好的に紹介してくれれば、新規顧客も増えるかもしれないのに。
「売り上げが伸びないから、お金がない」は辛いです。
嘆きたくなります。
でも、それは、お客様に向かって嘆くことではありません。
本当の問題は、お金がないことでしょうか?
もう一度 考えてみてください、お金がないことは、「結果」です。
原因は、売上が上がる手段がうまくまわっていない、できていない、間違っている、のいずれかではありませんか?
お客様がお金を払いたいと思うポイントに、こちらが商品なり会話を合わせられないから売れないのです。
はじめの一歩は、お客様にどうしたらお金が払いたくなるか、を聞くところから始まります。
そうです、優秀な経営者は、必ずお客様に【ask】することから始めます。
【ask】…尋ねる、聞く、頼む、お客様の声を聴きます。
その時大切なのは、笑顔。
件の社長にもっとこうした方がいいと意見するお客様がいたのです。
クレーマーですか? いいえ、意見するお客様がすべてクレーマーではありません。
クレーマーではない証拠は、そのお客様の、顧客生涯価値。
開店以来のお客様は、その価値、優に200万円。
クレーマーなどではないのです。
よくなってほしい、あなたの会社の文化が好き、だから意見を伝えたのです。
あなたの会社が好きで、あなたに信頼を寄せ、あなたから商品を買ってくれているお客様に、頼む・聴く・尋ねるのです。
誰に聞くか?それは超お得意様。
顧客生涯価値の高いお客様たちです。
なぜ、当社のお客様でいてくれるのか、その理由を話してくれるからです。
「顧客生涯価値」を知るのに、会計知識なんていりません。
入会した時からの購入履歴を見さえすればいいのです。
単価が分かれば、期間中の購入頻度をかけて、簡単に計算できます。
さあ、あなたも聞きに行ってください。
ただし、手ぶらはいけません。
「笑顔」と「ちょっとした手土産」お客様の笑顔を引き出す小物をご準備ください。