「今週の一言(いちげん)」第69話売上が上がれば上がるほど、お金が足りなくなるほんとの理由
「確かに本を買うときは、前払だよね。ネットで買ってしまうから。クレジットカード決済だから、難なく買ってしまうね。でも、制作は納品してからお金をもらうのが今までの慣習ですよ。他の業者だって皆同じですよ。
エッ前金制の業者がいるの?儲かっているんだって?」
仕事は継続的にあるのだけれど、資金不足に陥っていると、経理担当副社長の奥さんからせき立てられて、若い社長さんが相談に来られました。
仕事は、ホームページの制作です。
「きっと、見積もり単価が低いから、仕事が途切れないんだとおもいます。そこで、単価を2万円あげて見積もりし始めました。しばらくすれば、効果が出ると思うんですよ。」
社長さんは、利益率を上げて利益を出したい。と考えています。
値上げを、取引先が納得すれば、それは、利益が出るので、嬉しい話です。
しかし この会社、売上は途切れていないし上がってきている、なのに資金不足です。
こんな時は、お金の受け払いルールに問題がある場合が多いのです。
持参された注文請書を見せていただきました。
納期は、注文請書の日付けからちょうど4ヶ月後の日付が記入され、さらに備考欄には支払は納品後の請求から1月後と記載されています。
この業務では、プランを練りだしたから、お金が回収できるのは何時ですか、と聞くと、半年後イエイエ、一年かかる案件もありますと話されます。
そこで、実際の業務の流れとお金の流れを聞き取る事にしました。
ステップ1「プランの相談」… 都内のCaféでうち合わせしてラフステッチ
ほぼ一週間で概略のプランをまとめて、
さらに、技術担当者と手順をつくり見積金額を検討する。
ステップ2「お客様へのプレゼンテーション」…担当者にラフを見せて、
相手先の上司の意向を確認する。
ステップ3「金額のすり合わせ」…発注先担当者と上司と双方の意向を聞き
プランをまとめる。
ステップ4「注文請書」…ここでやっとお金が見えるけれど、入金は先です。
ステップ5「納品」・「請求」…請求書を出して、一ヶ月後に振り込みされるハズ。
なんとステップ1から5まで、全く現金が入ってこないスケジュールです。
もし、この期間に他の案件も受けていたら、経費は案件の数だけ増えます。
売上が上がって、絶え間なく案件をこなせばこなすほど、手元の資金が無くなる計算です。
経営者にとって、お金は 何よりも頭を悩ます問題です。
「だから、仕事の見積単価を上げたんですよ。」
もちろん、単価を上げて利益を出すのは王道です。
しかし、単価を上げたところで、入金が一年後と言う仕組みでは、その間、資金不足になるのは目に見えています。
仕組みを変えることが資金不足を解消する方法なのです。
そこで、前金で料金をいただくことはどうかと提案しました。
社長さんが作っているのは、商品を販売するホームページです。
社長さんもHPで販売している商品を買うときは、前金(クレジットカード)で支払をすると言います。
慣れ親しんだ方法を変えると、人は不安になる。
慣れ親しんだ方法を変えなければ、何の問題も無く購入するものです。
御社のホームページで、「ホームページ」販売画面を作ればいいのです。
「金額が大きすぎますよ」
「リボ払いもあるし、第一手付けの1万円入金だってあるじゃないですか?」
「要するに、野口先生は、現金が好きなんですね、(笑)」
もちろん!野口は現金が好きです。
現金無くして、商売はあり得ません。
商売は、儲かっていても、現金が無くなれば、つぶれます。
利益の裏付けは、決算書の数字ではなくて、預金通帳の残高です。
私は“儲かる経営者がおさえるべき7つの数字の法則”を伝えています。
1.優良顧客を購入単位の数字で語り、
2.簡単な数字のかけ算で従業員にシンプルに事業目標を伝え
3.預金通帳で利益の裏付けを確認する。
利益を出し続ける経営者達が必ず押さえるのは、手許の現金を確保するやり方です。
しかしそれ以上にその場での決済が大事だ、と伝えたいのです。
なぜなら、今、契約しようと決めたときが、本当にほしい時なのです。
新しい商品や、新しい販売方法を提案した自社のホームページを作る事。
それは、発注者の夢の実現です。
今思い描いてきた、夢がかなった時です。
その時以上にお金を使う喜びが感じられる時があるでしょうか。
努力して頑張って稼いだお金を、値のある問題解決に遣う事ほど、価値が出ます。
その時だから、その価値をお客様にお渡しできるのです。
お金が価値ある使われ方をしないと、お金は次第にしょげていきます。
売上げが上がっているのに、お金に変えないで、お金をないがしろにしていると感じると、お金は、本当に手許によってこなくなりますよ。(笑)
売上を上げるためには、新しいモノ・サービスを作り出す事が必要です。
新しい資金が必要なのです。
資金を増やすには、前金でもらう・出資者を募る・借金をする、など方法はいろいろあるでしょうが、継続して経営を大きくする仕組みは「前金でもらう」事です。
借入も出資も、毎月は出来ないからです。
売上が上がっているのに、お金が足りなくなるのは、お金のルール・財務戦略を立てていないからです。
社長さんが売上を上げたいとお考えであれば、すべきは「財務戦略」を建てる事なのです。
お金の事は女房任せでは、会社は成り立たなくなります。