「今週の一言(いちげん)」第120話なぜ、新規で会社の力が分かるのか?企業成長の必須条件
「なんで、手元資金が楽にならないか、ようやくわかりました。
新規をどう定着させるか、今我が社の力が試されている。数字を見ればその時期なのに、新規!新規!と、新規追っかけ策にばかり目が行っていたんですね。
追っかけて、捕まえる。それは確かに成功した。やったー!捕まえたと思ってなんだか納得して、そのあとまた次の新規を追っかけたんですね。」
事業は、売上規模ごとに必ず壁が用意されています。
1000万円、3000万円、一億、5億、さらに10億…、必ず同じ問題にぶつかります。
うまく滑り出したのに、安定して伸びないとしたら、売上のステージが上がったのに、以前のステージで成功したやり方にとらわれているかもしれません。
「うちは、最初から値引きでお客様を集めたりはしません。最初から30%引きなんておかしいです。
正規料金で、初めてのお客様とも納得いただいたうえで施術しています。」
技術に自信をもって経営されている施術サロン経営者は、」自信をもって話します。
客数も減少していない、客単価も下げていない。
ただ固定費を減少させようと、大通りの路面店から、一本裏道の住宅街へ移転した。
それが原因なのか?なんとなく売上金額に伸びがありません。
売上の伸びがないなら、経費も削減したい。
今まで、クーポンサイトに払っていた費用も見直ししたい。
でも、新規集客の大きな窓口はクーポンサイト、やめるわけにはいきません。
「クーポンサイトとの契約を、どうしようか考えていました。
固定費削減はしたいけど、新規は必要です。
契約解除はできないので、契約ランクを見直そうかと思うのですが。」
広告宣伝費のかけ方は、LTV(顧客生涯価値)を知っていると、判定ができます。
お客様から頂く利益=LTV(顧客生涯価値)を得るために、使っていい経費が、一人当たりの獲得費用、つまり広告費用です。
ひとりのお客様の獲得費用は、当然ながら、LTV顧客生涯価値以下でなければ、利益はでません。
たとえば、LTV(顧客生涯価値)が、48、000円 だとしましょう。
サービス業の広告費割合15%~20%といいます。
仮に20%をかけると、9600円までかけられます。
一人当たりの広告費が少ない方が、会社の利益はあがります。
ですが、ひとりの顧客にたくさんの広告費をかけられる資金力のある会社が、結果として多くの顧客を獲得できるのも事実です。
あなたなら、どこまで広告宣伝費をかけられますか?
それを知るには、何が分かれば、はっきりしますか?
決算書から売り上げはわかります。
さすが経営者、すらすらと年間売上、客数をお答えになります。
さて、平均購入頻度は?と聞くとちょっと答えに詰まりました。
年に20回来店なさるお客様もいます。しかし一回のお客様も…。
平均はどうすればわかるのか?
来店の様子は、毎日の売上表に記載されています。
このよくわかっている経営者は、言いました。
「売り上げを毎日パソコンで作っているこの表だけでは、入金はわかるけれども、来店頻度も、来店間隔も、商品の購入履歴もよくはわからない。」
社長さんは、打ち合わせの席からすっくと立ちあがると、
「先生、こっちの『顧客リスト』見てください。」と営業資料を置いてある席へ案内してくれました。
お客様の名前や住所・アレルギーや趣味などの個人情報を記載した顧客リストがつづられたファイルは、大きな机の引き出しの中に大切に保管されていました。
ファイルは、名前のあいうえお順に綴じられていました。
お客様の一番大事な目印は、お名前。
初めてお店に来ていただいた来店日や、お誕生日、大事な情報はこちらにありました。
そして、そこには毎回の施術の細かな情報も一緒に綴じられています。
「前回の情報があるので、この情報を見ながら、今回の施術を担当者が提案できます。
あいうえお順が一番わかりやすいのです。新人でも、お名前でファイルを確認できます。」
初めてのお客様と年に20回のお客様をなぜ区分しなければならないか?
初めてのお客様には、この店舗が他とは違うポリシーを持っていると伝えて信頼を得ることから始まります。
ちょっとの不安も不満も、見逃さずにお聞きしますよ、お話しましょう、が大切です。
20回目の顧客様には、お客様からの支持を裏切らない行動と、具体策の実施で他の店舗には移動させない、もっと言えば「私たちは、あなたの信頼を裏切りません。」という意思表示が必要です。
サービス業では特に購入頻度ごとのお客様応対ルールが必要です。
対応を間違えると、お客様を失ってしまいます。
ず~っと、信頼して通い続けて下さるお客様を造ることが、成長の必須条件です。
売上も利益率もいい、店の雰囲気もいいお店造りには、優良顧客を多く抱える事が必須。
優良顧客を多く作るには、優良顧客を特定して、「ロードオブ優良顧客」の道筋を明らかにすることです。
賢い経営者は、すぐに理解しました。
わが社の売上表と顧客リストには、橋が架かっていない。
「う~ん、わが社の顧客リストは、施術技術者が、見てすぐに施術できるように整理してきたつもりですが、売り上げ期間や売り上げ頻度という視点がない。
顧客ロイヤリティを評価していないということですね。
どのお客様に対しても平等に対処しようとして、結局どのお客様にも、叱られない怒らせないだけの対処になっていたかもしれない。」
経営者は、すぐさま、顧客リストを手に取ると、来店回数を数えだしました。
一年間の期間を定めて、その期間に来店されたお客様ごとに来店回数を数える。
それを、1から20までの回数表を造り、正の字でお客様をカウントしたのです。
なんと、半数が、一回こっきりになってしまっているお客様。
でもこれは、予想できていた数字です。
「一度来てみたけれど」は、おおよそ40%、さらに「最近来てみた」が10%というのは、平均的なお客様の反応です。
「まさか、こんなに!!」
事実を目に前にして、経営者は深くため息を吐きました。
「まさか、と信じたくないけど、事実を知ることですね。まずしっかりデータを知る。」
一年間の平均購入頻度と平均購入単価が分かると、LTV(顧客生涯価値)はすぐにわかります。
現状の広告費を獲得新規顧客数で割って、費用対効果を見比べます。
「なるほどね~、間違っていました。ウチは新規開店時にクーポンサイトで、新規客を大量に集めました。
全くの新規を追っかける時期と、新規顧客を2回3回と回数を踏んでいってもらう仕組を造る時期があるのですね。わが社は変わる時に来ていました。」
成功した方法を繰り返す、やりがちなことです。
会社企業の目的は、利益が増える事・資金が増えることです。
同じ方法を繰り返して、利益が増え資金が増えないのであれば、方法の見直し時期です。
今、あなたは、どこにいますか?
売上の規模、あなたのお客様、LTV(顧客生涯価値)購入頻度・取引金額・取引期間、さらに紹介・宣伝効率、LTVを押し上げる要素は、客観的な数字になっていますか?
あなたは、これから 新規顧客獲得にいくらかけられますか?
その数字は、会社の力のバロメータです。
そして、事業を伸ばしていきたい社長さんの成長への意志を示しています。