「今週の一言(いちげん)」第216話お金が戻ってくるまで何日かかる?
From ノグチ
2週間ほど前、高田馬場の事務所での出来事
事務所のドアを叩く音。
(はい!どちら様ですか。)
とドアを開けると、そこに高齢の女性(若々しいけれど)
腕には、書類を抱えています。
指先には、名刺が、挟まっています。
決算を組んでほしいのだけどと、言いながら事務所の中へ、、、
安くしたい!だけでもない。
ひとまず、入り口カウンターの上に
書類はどっこいしょと置かれました。
名刺を頂戴します。
(この人は、態度も、名刺も しっかりしている。。。
(数年前にも同じような飛び込み相談があった。
その時は、料金が高いと、向こうから断られたな~。)
飛び込みで決算を組んでくれと言うのは、
何かしら問題がある場合が多いのです。
(ウチ、高いですよ。)
…お値段高いと言ってみる…。
「じゃ、いったい いくらなんですか?」
定価表をカウンターに広げて、お見せすると、
彼女、すぐに、定価表の金額欄を指さして、
「ウチ ここだから、お願いします。」
(料金は、払えると言うことだ。)
ともかくも、
(では、状況をお伺いします。)
うち合わせテーブルにご案内しました。
お金が無いのに、税金が発生する謎
「昨年の決算書がこれです。」
(ちなみに、なぜ急に、当社に決算を???
「人に任せていたの、間違いだった。」
税金がたくさん出ていて、資金は底をついて、、、
儲かっていないのに、税金を払うなんておかしいでしょ!」
「だから、止めてもらった、理事長も税理士も。
任せるのは辞めて、自分で始めたわけ。
もう、大変よ~。」
確かに、大変な資金繰り状態。
現金出納簿には、毎週のように個人からの借入が記載されています。
少し余裕が出ると、返済するも、また、、、
出したり、入れたり、入れたり、出したり、、、
もう自分でも、残高がつかめないくらい。
こんなにお金が無い。
それなのに、なぜ、税金がでるの?
不思議です。
お金が無いのに、税金が発生する謎。
「お金の日数」
医療・福祉事業を行っている事業所でよく聴く疑問です。
お国の認定を受けていますので、
間違いなくお金は入ってきます。
問題は、“タイムラグ“
設備投資は許可を受けるために前倒し、人件費や諸経費の支出は、今すぐ。
でも、サービスや報酬の入金は、月末請求のさらに2ヶ月後。
大概の事業者は、タイムラグを借金で埋めようとします。
借金を払っても、払っても、
タイムラグは、何時までも続きます。
借入が、ちょっとずれると、大きな資金の穴があきます。
埋める手立てが、ちょっと遅れる。。。
ちょっと一日ずれただけなのに、、、
損益計算書では、未収であっても売上が立ちます。
会社にお金が無いからと、経営者が給与を取らない運営をすれば、
それは、利益が出ているように計算出来ます。
こんな時、確認する数字は、「お金の日数」と言う数字です。
私の100円は、私の手元に戻ってくるまで、何日かかるか?
生き残る経営には、この日数を短くする対策が有効です。
さて、彼女が笑顔になったのは、
支払の仕方、お客様への請求の出し方、まだまだできる事がある、と分かったから。
そう分かるのは、日数をちゃんと計算出来たからです。
―ノグチ
PS.
数字というと、「売上総額」を思い浮かべる経営者が多くいらっしゃいます。
売上を上げると、儲かる、お金が手に入る、と思うからです。
でも、資金は売上を上げるだけでは、増えていきません。
お金を増やしたい!それなら、お金の日数という、経理の智恵が必要です。