代表野口_黒バック 「今週の一言(いちげん)」第23話あれもこれも売上は全部欲しいけれど、効率よく利益を出すのが社長の手腕。

「もっと売上は上がるハズなんです!この店舗も、この店舗も!ウチの事業部長達は力がある!だから、各部門の長には、全部やってほしい。全部ですよ。人事も、売上も、売掛金回収も、全部。もちろん設備資金はこっちの役目だから負担はかけないけれど、任せているのだから、やってほしいんです。」

 

介護関連事業T社長は、グループ売上30億。事業は拡大中です。

今年度は店舗をさらに10店舗増やすと、意気込んで事業計画を立てました。

店舗展開には人材が必要です。前倒しで従業員数を増やしているものの、思うような結果が出てこないと感じて相談に来られました。

 

当初一社で事業を興しましたが、今では6社。

その6社にまたがって、71店舗・9事業部門があるので、グループ全体の事業統括は数字を拾うだけでも大変な作業です。

 

予算は、来客数で管理しています。予算は作対比5%UP

一人当たり・一回の料金は、ほぼ定額です。施設でフル稼働した場合の人数上限の8割が標準目標です。

 

経理担当役員に、予算を組んでいるのに、予実対比ができてこないのは、経理部門に問題があるのではないか、と話したところ、いや、予算管理は各部門長がするのでしょう、こちらは財務諸表の作成と銀行対応が役目ですからと反論されました。

 

別に、経理担当役員が、社長に反目している訳でもなく、売上部門長と仲が悪いのではなく、これ以上無理というのが正直なところです。

実際、経理担当役員も売上一部門を担当しています。

 

開業以来、今いる幹部メンバーで増えていく事業・店舗・人を回しながら売上を伸ばしてきているので、幹部メンバーは、一人二役三役以上の役割を担っています。

 

一枚の大きな紙に全店舗の売上と人件費・諸経費が一覧で表示されています。

71店舗の売上一覧は売上部門ごとに色分けされて区分表示されています。

店舗ごとひと月ごとの損益を、細かく表示しています。

 

店舗損益が分かりますので、利益をあがられない店舗へは個別に指導・てこ入れを行い、助言をして引っ張ってきました。現場の実務に直接入って援助します。

とろこが、店舗が増えるに従って、社長の耳には、「ウチには部長が援助してくれない。」という何人かの店長の不満が聞こえてきました。

 

表の中で一番大きな売上部門は、N部門長の部門です。

N部門長は、もう一つ個別顧客への特別サービス部門を持っていました。

この個別顧客への特別サービスの一ヶ月の売上は48万円前後です。

 

なぜ、このサービスをN部門長が行っているのですか?

「昔からのお客さまで、継続しているから」

 

なぜ、他部門のように他の社員も行えるサービスにしないのですか?

「う〜ん、特別価格で了解してくれるお客様は少ないと思う。」

 

N部門長が、最優先すべきは部門の店長指導ですか?この特別サービスですか?

「イヤ、ある売上は全部そのままの上にさらに売上アップしたかった。」

 

売上はどんなに小さな売上でもお客様がいるのだから、落としたくない。

だから、売上目標は部門ごと店舗ごとに細かく検討して積み上げています。

 

一つ一つは達成できるはずの売上目標なのですが、ABCも同じ人が責任者だったり、責任者は別でも、目標達成のために部門長が作業員になってしまうやり方は、結局内部疲労を起こしています。

 

経費はなるべく少なくしたい、だから6社まとめて共同購入。

支払った後で分ければすべてうまくいく。

 

ところが、税理士事務所から思わぬ指摘が入ったのです。

「共同購入」とはいっても、6法人は別会社です。資本金も別々。

法人の目的は利益を上げる事、売り上げて利益がない商売はしないでしょう。

だから、利益を加えて面倒な請求発行して、資金移動して、これも売上です。

 

売上はあれもこれもどんな売上も落としたくはない!それは経営者の心理です。

客単価が高いお客様が付いているというのが、理由です。

でも、この商品N部長は、この単価で売ればうるほど、会社は損がでます。

 

本当に落としたくない育てたい会社の商品は、売れば売っただけ利益が出る商品

古くからのなじみでたくさんのお客様を紹介して下さったお客様は、大事です。

そのお客様への感謝は、別な方法で感謝の意を表すことができます。

 

イイ会社は、社会に役立つ仕事をしています。

イイ会社は、その仕事を続けるために、利益が必要なので、利益を出す工夫があります。社長や事業部長が現場で実務に時間を費やさなくても社長や事業部長と同じ技術・接客・安心が得られる方法で販売する工夫です。

 

さて、後日、幹部会議において、商品単価・売上部門の見直しが話し合われました。

N部長の部門は地域分割し、N部長とN部長が育ててきたHマネージャーが担当。

N部帳の価格はアップ、3名の特別サービス担当者の価格は現在のN部長の価格としました。

 

こちらから価格を提案するから、お客様は、「買う」「買わない」と答えます。

「すぐ・相手のすきな時間」など、提案の仕方によって柔軟に値上げが可能です。

常に常にお客様に問う、出したり引っ込めたり、社長の腕の見せ所です。