「今週の一言(いちげん)」第230話「役員借入金」という財産。
Fromノグチ
父の相続について姉弟で話したこと…。
昨年の10月に私の父が94歳で、亡くなりました。
永年 米酒の小売店を営んでいましたが、
20年以上前に事業は、弟夫婦に引継いでいました。
ただ、法律の手続きは未処理のまま。
小売店は、有限会社という会社組織。
株主がいて、取締役がいて、代表者がいて、「相続」という整理整頓が必要でした。
関係者が皆 身内の人間なので、いろいろな感情問題が勃発しました。
こんなに多額の「役員借入金」!
一番もめたのは、「役員借入金」
社長の給与から、お金を借りるやり方で出来た借金です。
何年にもわたって、未払がたまりにたまって大きな金額になっていました。
身内の恥ですが、本当に資金繰りがよかったら、
「役員借入金」など発生しません。
お金が足りないから、「役員借入金」になってしまうのです。
いくら決算書で利益が出ていても、資金繰りは別物。
在庫や売掛金、土地の購入など、資金不足になる理由はいっぱいあります。
「なんで、オレが働いて、親父に役員借入金を払わなきゃいけないんだ!」
よくあるなし崩し式の引継ぎは、きまじめな弟と対立を生み、
険悪な空気が何度も流れました。
そのたびに、会計事務所の先生が説明したり、母が家出したりして、、、
当の父親は、認知症なのか、頑固なのか、意味不明の「オレは行動する」。
とうとう、お金の問題はそのままに、旅立っていきました。
負の財産は、相続したくないけれど、、
さて、父を見送った後は、相続です。
「この役員借入金が、相続財産になるのか!」
故人が有限会社という他人にお金を貸していたので、財産にカウントされちゃう。
「相続ってさ~、もらえるモノじゃないんだね。」
もらいたいよね~、たくさん。
でもそうはならない。
土地も建物も、事業に使えて利益を上げていれば、嬉しい財産ですが、
事業に使えていないなら、高い固定資産税を払い続けるだけの、負の財産。
それでも、土地・建物は売却出来るかもしれません。
ところが、「役員借入金」は、売るに売れません。
「役員借入金」を売るとは、会社を売ることです。
会社は、生活の基盤、売れません。
とすれば、「役員借入金」は、相続して、次世代に残さない決算を実行しようと話し合いました。
前向きに心配しましょう。
よくなる目標を持ったのだから、それに向かって行動です。
大切なことは、行動する前に考えすぎない。
私、この点 父を尊敬しております。
―ノグチ
P.S.
零細企業は、会計を会計事務所におまかせにして、会社も代表者としての社長報酬も大きくする、大きく見せる、それが主流だった時代があります。バブル期まで、零細中小企業の会計は、すべて会計事務所の仕事だったのです。
社長さん、ポイントを、手に入れましょう。
儲かるポイント、資金を把握するポイント、それを手に入れましょう。