「今週の一言(いちげん)」第103話今の残高はいくらか?資金を増やす社長は、今を報告させている。
「毎日 この残高を見ないと不安なのは、俺が、“びびり”だからなんだけれど、
でもこれが一番会社の状況をわからせてくれるんだ。
なんでこんなに残があるんだ?と思うときには、請求書の支払が少ないから、来月売上少ないし、残がなければ、人の動きを考えなきゃいけないし…。」
日中は、工場や取引先、関連会社に出向いてほぼ社長室を空にしておく社長さん
事務所に戻るとすぐに経理担当者に「残高見せて」と声をかけます。
経理担当者は、メイン口座の取引明細を素早く社長に渡します。
朝一番で事務所に立ち寄り、経理に声をかける時は、出張等で前の日に残高を見ることができなかった時です。
残高をさっと見ると、「ありがとう」と、取引明細を担当者へ返却します。
「うちの社長、天才だよね、この取引明細で経営状況を把握できるのだから。」
経理責任者は、社長が経理の席を離れると、感心の一言を発しました。
入社当初、社長から直接声をかけられると、処理の間違いを指摘されているのか?
と不安で、社長の顔色をうかがっていた経理担当者でしたが、今は違います。
社長みたいと思う資料を考えて作成し、社長の期待に応えています。
今朝 早速に社長が指摘したのは、メイン口座の残高が多い。
「支払いは済んでいるの?」
「はい、社長に見ていただいた分で全て終わっています。」
仕入の発注は、それぞれの担当者が行いますが、最終確認は社長です。
経理は、「社長には見てもらっている」と言い、確かに俺は請求書を見た。
「請求書を見るときは、とにかく一つ一つの項目をどうすれば削減できるか、安く出来るかだけを見るんだよ。それ以外考えると混乱するからそれだけ」
間違っていると、言っているのではなくて、少なすぎる…。
請求書の支払総額が少なくなると、支払が少ない、資金が増えたと喜ぶかと思いきや、社長は「う~ン困った。」と表情を曇らせます。
支払が少ない。
→来月売る商品の仕入が少ない
→来月の売上のめどが立たない
→売掛金が減少していく…
→結果、資金が次第に減少する。
利益が増えるには、先行して、売上が上がります。
売上が上がる前に、売るべき商品の仕入が発生します。
商売の資金の流れでみると、仕入額の支払が売上の入金より前に発生するのです。
メイン口座の残高が基準よりも大きくなっているのは、来月以降の売上に手を入れなければならないときだとわかるのです。
逆の場合はどうでしょうか?
資金残高が、基準額に近づきだした、下方に推移しだした時は、現場のお客様対応がうまくいっていないことの表れです。
商品を選定し、予算を立て、人を配置し、動き出してはいるものの、成果に結びついていない。
「人の動き、営業なのか、接客なのか、現場での作業員の問題なのか?現場の数字を確認しに行くことからだね。」
社長さんが、メイン口座の取引明細を見て、経営判断出来るのは、メイン口座の基準算を定めているからです。
「ノグチ先生、ウチの預金算残高は、いくらにすればいいですか?」
ノグチがお伝えしたのは、預金通帳決算書のやり方です。
預金通帳決算書では、まずメイン通帳の残高基準値を決めます。
次に、季節資金を支払う口座を造ります。
季節資金口座は、納税・ボーナス等不定期に発生する資金を毎月定額で貯めます。
メイン口座は、基本的な取引、つまり運転資金だけの動きとなります。
増えたら、商売がうまくいっている。
減ったら、どこか、調整して手直しだ。
増えても減ってもリアルタイムにその理由を確認して、対処していくやり方です。
前述の社長さんが、預金通帳決算書の考えにすぐ呼応したのは、日ごろの資金管理に悩んでいたからです。
口座の資金が多ければ、儲かった気になる。
オレはもっと儲けたい。
新しい店舗を持てば、もっと儲かる!
社長の家族は不安です。
儲かったと言う資金は、本当だろうか?
一時的に増えた資金の理由は?ただ払っていないだけ?
これから必ず支払わなければならない資金は保有しているの?
銀行対策も面倒です。
口座に資金が少なくなると、すぐに銀行がやってきて資金手当てを進言される。
借りたら返さなきゃと不安だし、銀行のために働くのもしゃくに障る。
なにより、自分の会社の事なのに、決算書や法人税申告書なんてわからない。
会計のこと言われたってわからないから税理士に頼んでいるのに、棚卸しをしなければ、利益はわからないと言われた。
経営がうまくいっていると、お金は増えていきます。
財務の分野で言えば、会社の成功は、2つ数字で表されます。
1.利益がふえる
2.資金が増える
資金がふえる事が、会社経営がうまくいっている証なのです。
資金は、社長だからこそすぐ確認できる、リアルタイムな情報です。
資金は、社長だからこそ、決済できる実額の財産です。
もちろんこの会社では、試算表をスピーディに作成します。
資金で判断した事の裏付けは、試算表によって、確認できるからです。
利益率が見えるのは、試算表のおかげです。
ですが、今、試算表ができあがるのは翌月の7営業日です。
今起こっている問題への対処を、40日後に決定する、それでは経営者とは、言えません。
「前もコウだったよね」などと過去を引き合いにだされて、注意を言われたら素直になれないのは社長も社員も同じです。
試算表の完成を待たずとも、現場には、今日の来店者数も、客単価も、客数も、今日販売に要した費用の数字も、全てあります。
だから、社長さんは、社長だけが手に入れられる資金で変化を掴み、社員をリード出来る現場の数字を見に行きます。
「オレが、細かい数字追っかけられないよ~」と言う声が聞こえてきそうです。
社長さん、自分で数えなくていいんです。
社長さん、あなたは、従業員に
「数字を教えてくれ、見ていたんだろう。」と声をかけるだけ。
社員は皆わかっています。
社長の顔を見れば、どれほど社長が真剣か、嘘をついたらどうなるかを。
社員が、ウチの社長凄い!と惚れるのは、
目標に向かって一筋、一度言ったら前進していく姿を見せている時
今日もニコニコ顔の社長はお金が増えている、と社員が感じている時です。
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