「今週の一言(いちげん)」第71話価格を自分で決められるから、社長の夢が実現する。
「『数値目標を立てる』事の重要性を感じました。
価格表が曖昧になってしまっている。自社のホームページでは価格表を出しているのですが、相手が大所だと、『この金額で、、、』とそれに納得してしていました。
けれど違いますよね、私の会社ですから、私の夢ですから。
相手の言いなりは、自分に価値がないと言うことになってしまうワケです。」
自社の製品に自信がある、いいものを作って届けたい、と一生懸命に後力している社長さんが多くいらっしゃいます。
「よかれ」とおもって努力をしているのだけれど、なかなか価格に反映しない。
なぜ、いいものが、価格に反映しないか?
一つの原因は、「いいもの」の価値を、最終利用者にまで届ける売り方になっていない事です。
地域の産物を使った製品で、しかも県の推奨品に認定されるほど完成度が高い製品を作っていたM社長さん、製品には自信がありました。
地域特産品として、観光バスが立ち寄るサービスエリアに卸売りをしていました。
直販ではないから、販売価格は1000円でも、納品は、400円。
一生懸命に作っても、なかなか利益を確保できない状況が続きます。
さらに、製品を卸していた販売店から大幅値下げの要求がきました。
納品に伺っていた担当者から、値下げが致し方ないのではと、報告を受けましたが、社長は納得出来ません。
そこで、自ら、製品をもって卸先の店舗を訪問したのです。
そこで、見た光景は、量販店の食べ放題スタイル。
大きなたらいの中に山のように盛られ、伸びきったゴムのようになった自社製品の姿でした。
いくら手打ちで制作しても、提供される場でその良さが伝わらなければ、安い商品のレッテルを貼られるのは当然です。
愕然とするシーンでした。
特産品として価値を訴求出来ていなかった。
原材料もいいもの、設備をかけ、手間暇かけても、最後の最後、お客様にその価値を伝えられていなければ、結果的には特産品の「価値」がないのです。
お土産には、根強い需要があります。
爆買は、決して中国からおいでの観光客に始まった行動ではありません。
日本でもバスツアーで観光地を巡るご婦人には、楽しい行為です。
「価値」が下がらないお土産と、何処にでもある安いお土産には、明らかに違う販売方法があります。
「崎陽軒シウマイ」は、店舗は小さくても、崎陽軒の制服を着た販売員が、接客します。
「東京ばな奈」は東京のしかも羽田空港で、単独の販売店で単品販売です。
他の商品とは一緒に並んでいません。
他社の製品とは同列ではない!
ハッキリと自己主張をしているのです。
「おいしい」のは当たり前、その上で「自社製品の価値を直接伝える」販売方法を選んでいるのです。
社長さんは、一生懸命下を向いて製造し、時々卸売り先の顔色を見て、最終購入者の反応は全く見ない、経営になっていたと気付いたのです。
さて、野口は、M社長さんに一番利益を出している製品はどれかを見極めましょうと提案しました。
まず、己を知る。それが大事と孫子が教えてくれています。
最終購入者であるお客様が支持している、自社の柱になる製品を知るのです。
この製品をどれほどの人に届けたいか?それが売り上げ目標です。
もちろん、自社の価格表に提示されている価格で販売されている製品です。
ただ空想したって、実現しないでしょう?そう思われたのではありませんか?
もちろん空想だけではダメです。
数字に書き起こすと、実現するのです。
一番利益を出している商品をより多く販売しようとするわけですから、実現すれば、利益確保は確実です。
考える事は、ひたすら、売上拡大です。
この売上を実現するには、いろいろな問題が出てきます。
店舗がない、宣伝チャンネルがない、資金がない、人材がたりない、ないないづくしです。
ないから、次にある状態にする小さな目標が出来てくるのです。
店舗がない→ 店舗を持つ。何時までに?広さは?賃料は?場所は?
宣伝チャンネルがない → 今のお客様が見ているのは、なんだろう?
調べる担当者は誰にするか ?
具体的に問題を分けて考え、議論できる単位に落としていきます。
具体的とは、数値目標になる事です。
責任者と責任期間と個別の数値目標がハッキリすることなのです。
社長が従業員にかける言葉は、「頑張れ」でも「やれば出来る」ではなく
「今日はもう、目標の客数に達しそうだよ、凄いね」
「今日はどんな目標立てているの?」
「達成したら、社員旅行だ。楽しみだね。あとで目標達成の方法教えてね」
事業計画は、机上のソフトで作る資料ではなくて、売り上げ目標を達成するための個別の目標が束になったものなのです。
もちろん、束ねるのは社長の理念です。
社長の夢が、束ねた目標で実現するのですから。
社長さんは、売り上げ目標を見ながら、話しだしました。
「自社の製品の価格を決めることが、こんなにも大事なことだと思っていませんでした。他より安くしないと、取引が無くなるのでは?と不安に駆られていました。
でも、安売りは、自社製品の価値を下げること。社員の努力も踏みにじりますよね。」
社長の夢は、自社製品の価値を価格に込めて、お客様の手許に届くまで価値を伝え続けるから、必ず実現します。