「今週の一言(いちげん)」第46話中小企業がオンリーワンを目指す時に、必ず押さえるべき数字とは?
「オンリーワンの前に、ナンバーワンだ。商売じゃ当然だよね。大企業と中小企業を見ても分かるじゃない。業界ナンバーワンの大手に知名度でも販路でも価格でもかなわないもの。だから、独自需要の掘り起こしだね。大手さんだと面倒でやりたがらない販売方法で独自の販路を築ければ、この販売方法ではナンバーワンになれそうだな。」
社長さんは、従業員にいいものを作ろうと声をかけてきました。
いいものを作ってオンリーワンになりたい。
地域で評価される県推奨が受けられれば、品質信用で、利益確保だ!
しかし、県推奨品の認定製品を作っても、売上アップには直結しません。
特産品として、地域の特徴をより強く出せば販路があるはずと考えましたが、地域特産品売場は、同じ推奨マークをつけた、100種類以上の競合が並ぶ激戦区です。
社長さんのイイ製品は、自分の“おいしい”が大前提。
当然、自社の製品が一番美味しいと思っていましたが、それは他社も同じ想い。
商売で一番の判定は、お客様が決める事。
さて、お客様はお土産品を選ぶ時に“おいしい”を基準に選んでいるのでしょうか?
ご当地グルメであれ、ご当地特産品であれ、全く知らない商品を好んで選び購入するお客様は、かなりの少数派です。
この少数派が購入する特産品は、まず自分用です。
なぜなら彼らはハンターです。
たまたま自分が“見つけた”ことを表明したい人々です。
お土産として職場やご近所・近親者に贈られる品々ではないのです。
今時 お土産品として大量に売れる商品は、twitterされてFacebookでいいねされている商品です。
ネットでは、既にトップ1位・2位・3位にはいっている商品です。
「ウチの商品、結構ツイートされているんですよ。購入先は、直販でなくて卸先だから、だれもウチの製品だなんて思ってもいないでしょうし、しかも製品が出てくるのは自販機だし」
「自販機って、御社のお客様は、売り方にとっても特異な興味を持っている人たちじゃないですか?」
「それはそうだね。ゲームと同じように食品が、機械から出てくるのを楽しむ人たちで、結構自販機ばっかり追いかける人が多いんですよ。従前ゲームセンターをやっていた時にそういう人はいるなと思っていたけど。」
「一番売れているやり方に特化してみたら面白いんじゃないですか?」
自社で一番売れている商品・売れているやり方を独自のカテゴリーに昇級させると、そこでナンバーワンになることができます。
そこで、自動販売機で自社製品を直接販売する店舗を立ち上げました。
地域で他に自動販売機食品販売をしている業者がいなければ、当社は地域業界ナンバーワンです。
「マジカルナンバー7±2」をご存知でしょうか?
人間は、短期記憶として、せいぜい5〜9の区別しかできないといいます。
科学者の中には、このマジカルナンバーを「4±1」と断言する方もいます。
人は知らないものを、好んで購入しないものです。
「私が知らないものは、不必要なもの」です。
買って下さい。の前に、知らせないといけないのです。
知ってもらうには、知名度「1・2・3」に入っているのが有利です。
次に、簡単に選べる選択肢を絞ってあげるサービスが大事です。
たくさんあると、考えるのが面倒だから結果買わないという選択になるからです。
実際に「買っていただく」ためには、「3・5・7」の中から選ばせるのがいいとマジカルナンバーは、教えてくれます。
「よく知っている」「選びやすい」それが、信用につながっていくのです。
例えば、住宅購入の場合。今でも住宅を購入するのは、人生の大仕事です。
昔、地域には大工さんや棟梁と呼ばれる専門職がいて、この方々に建築依頼をするのが、いい家を作る基本でした。出来上がりも仕事ぶりも見えていたから安心です。
しかし、今日近所に大工さん棟梁と呼ばれる人たちは見当たらなくなっています。
近所の工務店に頼む人よりも、住宅展示場に出店している、テレビ・新聞などでよく名前を聞くビッグネームハウスビルダー7社に相談する建築主がほとんどです。
マンションの購入に至っては、ほとんど上位5社が独占しています。
作業をする人の仕事ぶりを評価しているのではなくて、会社の名前を知っているから信用して、商品としての建物を購入するのです。
車両を購入するときはどうですか?さて、どんな名前を思い起こしますか?
お客様は、トヨタ・日産・ホンダ・マツダ・スズキ・ダイハツ・、、、
10社なんて覚えていない、それがお客様の普通です。
業界ナンバーワンは、何よりも、お客様に名前を知ってもらう事ができます。
この商品なら、このお店がいいらしい、がお客様の頭にインプットされます。
上位1位・2位・3位が知名度を独占しているのは、どの業界でも一緒です。
職人気質の社長さんは、いいものを作ってオンリーワン商品を目指しました。
けれども、いま中小企業が経営をしていくには、お客様の支持がある今売れている商品と売れている売り方で、小さなカテゴリーを作り、ナンバーワンになる事が大前提だと気づいたのです。
お客様に会社を知ってもらって、役立って、また購入してもらえる循環が経営だからです。
さらに、独自の販路を昇華させて、ノウハウとしてプロ化すると、其れこそオンリーワンです。ナンバーワンの立場があるから、オンリーワンになっていけます。