代表野口_黒バック 「今週の一言(いちげん)」第33話値決めから逃げるのは、自分達の価値を上げる努力をしたくないから

「値決めが、甘かったんですね。自分がいくら欲しいか、どれだけあれば生活できるか、計算なんかしない方がかっこいいと思っていました。子供を持って本当に初めて考えました。子供を育てるのにいくらかかるか、数字にしてみたんです。そしたら、売上はどうしてもあげなきゃ。値決めは、自分もお客様も、厳しくなりますよね。」

 

今時のスマホのアプリを制作するSさんは、今年起業たばかりです。

数年前から、HP制作会社営業担当の仕事をして、新しい会社に転職したのに、嫌っていた制作の仕事で起業したのです。

 

HP制作会社営業担当時代、売上をたくさん取ってきたのに、制作部門からは批判をいっぱいいただいていました。

 

Sさんに向かって、制作部門から批判が飛び出します。

納期が重なった仕事ばかり取ってくるし、いいプランにしますよとお客様に言っては、仕事を取ってくるけど、結局いいプランは制作部門が造る羽目になってる。

目の下に隈ができるほど仕事をしても利益はさほど、、、?

たいした賞与が出ないじゃないですか。

 

仕事を取ってくれば、あとは制作が造るのが当然。

間に合わない? それじゃ、徹夜すれば、イイじゃない。

だって、みんな契約とれないでしょう?

 

営業ができた彼は、営業できない制作部門が、なんで発注者=お客様の文句ばっかり言うのか、頭っから理解ができずにいました。

もっと言えば、彼らが造った当社製品の悪口を言うお客様に「そうですよね~。」と追従して何が悪い。

いやなら、イイ商品にすればいい、とさえ思っていたのです。

 

HP制作会社社長さんは、当初 売上を上げる彼の側に立っていました。

しかし、当社商品の悪口は、許せない!

決裂しました。

社長さんは、彼に退職金を払って「出て行ってくれ!」

 

主力商品を主軸にすえて、どうしたら価値を守って展開できるか?

それが、制作会社の本来の命題です。

HP制作会社社長さんは、Sさんの力で、当社の製品を高く販売できるよう価値を上げる考え方・制作方法を彼と作っていきたかったのです。

 

Sさんは、すぐに新しい勤務先が決まりました。

でも、従前のように製品を良くしよう、イイ広告を作ろう、という会話がない職場。

給与は出せないから、いくらでも副業してイイよ、という上司。

 

次第に、イイ製品を作って自分の価値を高めたい、と思うようになりました。

このままでは、自分自身が、否定されているようだ。

 

結婚して、子供が生まれて、それなのに退職してくれ!といった社長に反感を感じていたはずなのに、時折思い起こす社長との会話があります。

 

「安いから仕事が来るようじゃダメなんだよ。いい仕事をする、売上が上がるHPだから、発注が来る、そうならなきゃ!それには、値決めなんだ。」

「お客様に、たった一つでイイから、見た瞬間、『これオタクの仕事だよね。ウチでも使いたい。でも値段は?あー高いんだね。』そういわせたいんだ。」

 

それは、他に無い、代え難いcoolな画像・見やすく・お客の心に寄り添う言葉

高いけど、この単価に見合う企画を造りましょうよ、と言われたい。

 

もう一つ、大事なことは納期厳守

仕事は納期が大切だ。

仕組みを作ろう、外注先は確保だ。

 

子供の顔を見て暮らす、その中で喜びに満ちた会話が嬉しい。

ちょっと待て待て、この子を育てるにも、行き当たりばったりの仕事じゃ無理。

奥さんが、公務員だから何とかなりそうだけど、ちゃんと将来設計しなければ、、

 

Sさん、前職HP制作会社営業マン時代に、ノグチが教えた通帳で売上・資金管理する仕組みを、今回しっかり活用中です。

取引通帳に売上が入金され、外注費の支払をし、経費分は、定額を引き出す。

最低残高が売上規模の2ヶ月分になるまでは、自分の給与も低額でガマンしました。

 

今は大台を超えました。

通帳残高は、自分に給与を出しても、増えていきます。

 

大手一社の取引先ではイヤだなと考えていましたが、今は一つの製品で全国展開できる程に高度化しようと決めました。

仲間内では、この製品なら、大手敵対会社に売り込みに行ける、と話が出ます。

 

中小広告代理店の下請制作では、ただただ、値段が安いことが“売り”で営業していました。

値決めも、まるで部品の話をするように、相場だから・一枚いくらだから、と自分たちで自分の価値を上げる努力から逃げていたのです。

 

自分に厳しくしないと、業績が伸びていかない緊張感を持っています。

ですが、恐怖は、ありません。

なぜなら、今求められているイイ製品を必ず納期までに納められるチームができているからです。