「今週の一言(いちげん)」第344話私は、惜しみなく教えているか?
From 「惜しみなく教える。」私が人生の目標としている言葉です。
この言葉、実は妹の通夜の席で得た言葉です。
月曜日、お客様の事務所で社長さんと会話を始めたばかりの時です。
ズボンのポケットの携帯がバイブし始めました。
「おお、いいよー、電話に出なよ。」社長さんも気づいて声をかけてくれました。
社長室の隣の事務所の窓際、夏の熱い日差しが差し込んできます。
見るとそれは北海道の弟からの電話でした。
「すぐに聖路加へ行ってくれ!ヨシエが担ぎ込まれた!」
人生の一大事
慌てふためいて、築地の聖路加国際病院に駆けつけると
そこにはベッドの上でにこやかに笑う妹の姿。
「あれ、姉ちゃんごめんね。この人達お客さん。」
ベッドの周りには、次から次へと築地帰りの白い長靴をはいた男たちがやってきては、大笑いをしながら魚の話に夢中です。床には大きな鯛?のうろこが、きらりと光っています。そして酢のにおい。
おいおい!ここは寿司屋のたまり場か?
しかし、にこやかに笑う妹を背中から支えた時、この子がもう間もなく死ぬことを悟りました。
人の体は、正直です。肌にも、浮き出た血管にもその兆候ははっきり見えています。
はたして、一週間後、聖路加の医師や看護婦そして友人たちに見守られて、妹は永眠しました。
惜しみなく教える。
築地市場の隣にある小さなお寺さんで葬儀を行いました。
お参りいただいた方を二階の通夜の席にご案内したときのことです。
1人の弔問客が、手酌でお酒を召し上がっていました。
弔問客にお礼をいい、お酒を注ぎました。
「魚のことは全部ヨシエさんに教わってきた。これから俺、誰に教わればいいんだ…。」
(ヨシエは、惜しみなく全部おしえていたでしょう。)
私の口から出た言葉は、「妹は惜しみなく教えた」という言葉でした。
そして、その言葉はそのまま私に帰ってきました。
私は、惜しみなく教えているのか?
ただ、手順を伝えるだけで、数字を記載し書類を整えているだけで、経理屋さんの仕事をするだけで、
その本意を、目的とするところを、教えているのか?
ビジョンを持つ。
ビジョンを持って仕事をしていくことが何より大切。
心底それが大事なことだと、わかった瞬間でした。
妹が最後にくれた私へのプレゼントだと思っています。
傍で弔問客と私の会話を聞いていたのは、その弔問客の奥さんでした。
「まるで、ヨシエさんに、うちのダンナが言われているような会話だったわ。」(笑)
―ノグチ
P.S.
緊急ではなくて、でも最も重要のこと。それがビジョンです。
年頭に時間を割いて考えてみてください。「私は私の葬式でどんな賞賛の言葉を言われたいのか?」
自分の本当の気持ちは、自分でよくわからないものです。人からどういわれたいのか?視点を変えてみる。
そこに、本当のあなたの目標が見えてくるものです。
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