「今週の一言(いちげん)」第267話製造業の儲かる数字
Fromノグチ
B to Bで上手にお仕事をしてらっしゃる社長さんのお話です。
「必要な情報は、相手の懐だよ。予算だよ。
予算額が60億だとして、この金額のどのくらいが取引部門の守備範囲になるかだろ?
そのうち5%は、関わらしてください。と、頼むのが俺の仕事」
年度末が近付いております。
そろそろ、来年度の予算を考え出す時節です。
人の採用も、設備投資のプランも、まずは売上予算があっての話。
説明は、相手の数字から
「朝来いよ。」
いつも社長さんからはそう声をかけていただきます。
午後には毎日担当会社に訪問するのが日課。
「だってさ、あの部署は10人ほどしかいなくてね。しかも若い技術者ばかりだよ。技術者に全部自分でやれはまず無理。半分はお手伝いが必要なひとなんだ。
部署全体の予算が6億だとして、半分がお手伝い必要。だから5%はお手伝いさせてもらいたいわけですよ。」
毎日営業に行くのではなくて、お手伝いにいく。作業のお手伝いではなくて、どうすれば時短になるのか?そのひと手間を現場に指示するにはどうすればいいのか?一緒に考えてくれる工場長のような役目を、下請け会社の社長がしています。
「俺が話していることは、『俺に仕事をくれ!』ではないよ。」
アイデアをどうすれば、上司に説明できるか?
上司がどのように社内会議に提案すれば、試作となるか?
鍵を握るのは、予算案と利益目標、それに市場に出せるまでのタイムスケジュール。
説得は、「お金と時間」の数字
上司への説得には、どれだけ予算に貢献できるかお金の数字が必要です。
さらに売れるには、いつまでに製品が提供できるのか?時間の数字が必要です。
社長さんは、上司に使える、数字を使った説得の仕方を伝授しているのです。
返報性の法則が働きます。
タイムスケジュールどおりに何とか製品を世におくりだしたい。
「それなら、ます、試作品は、社長さんにお願いしたい。」
もちろん、すべての発注が社長の会社におちてくるわけはありません。
これが何に使えるのか、企業秘密は全くわかりません。
ただ、これからのトレンドはしっかり情報として得ることができます。
業界の数字、営業に使える数字がまた手に入ります。
納得は、”妥当な”数字
「俺にとって大事な数字はね、もちろん売上なんだけど、それは、この商品をいくつ売ってこの金額になりますっていう数字じゃないのよ。製造業は、相手の予算が大事なの。その予算のうち、こちらがこの部分をお願いしたいと思える数字を見つけているの。そして、それを妥当だと思わせる見積書にするわけね。」
そうでした、社長のつくる見積書には、この値段でもしょうがない、これで妥当だと思わせる数字が、ならんでいます。何げないけど、この数字も説得力があるのです。
儲かっている会社には“肝になる数字”が、必ずあります。
―ノグチ
P.S.
「“この数字!”というのを教えてよ。」同業のコンサルタントの先生からよく言われました。「たとえば、回転率とか、流動比率とかさ~」
試算表の一つの項目にしたほうが、お客様にわかりやすいというのです。
残念!!! 実は社長さんによって違うのです。どこに視点を持つか、社長さんそれぞれ違うから、社長さんについてくるお客様も違うのです。私の経験値 7割方の社長さんはスピードに注目してその数字を見ているように思います。