「今週の一言(いちげん)」第225話特別な売上の、その先
Fromノグチ
久しぶりに伺った会社で、社長さんと
「よく覚えてくれていたね。そうだったね、あの時は、失敗だった。」
失敗だった、と言いながら、顔は笑っています。
「あの時は、とにかく売上が上がりすぎてパンクしたね。」(大笑)
平成24年の暮れの出来事でした。
売上が伸び悩んでいた時、社長自らトップ営業に出かけていました。
ほどなく、「社長自らじゃ仕方ない、社長のところにお願いしますよ。」
良かった…、これで昨対比105%は確保だ!
ほっと胸をなでおろした時、営業部長が、社長室に飛び込んできました。
「社長、工場に荷物を積んだトラックが押し寄せてきています!」
「うん、昨日大口契約したんだよ。今日みんなに発表しようと思っていたよ。」
「それは、T社ですよね、50台と聞いています。おめでとうございます。
でも、工場に押し寄せているのは、あちこち違う会社なんです。
受注契約していないのに、大量の売上
その日から、毎日工場にはトラックが押し寄せます。
朝早くから工場のゲートにはトラックが横付けされ、
工場の受付を待っています。
早朝からトラックが並ぶので、従業員は交通整理に大わらわ
受けとった仕事は、すぐには処理できず、未処理の荷物が山積み
とうとう、隣町の倉庫に荷物を運ぶことになりました。
年が明けても荷物を積んだトラックの列は、縮まりません。
かえって、その列は伸びています。
従業員の疲弊はぴ~く。
“もう売上なんか要らない”
年明けには、会社の誰もが、口には出さずとも“売上は、もういいや”
と、思い始めていました。
消費税が、5%から8%に上がったのは、4月
3月の末まで駆け込みで続いていた売上上昇は、そこで急に止まりました。
特別な売上…。
税率上昇前の、駆け込み需要でした。
3ヶ月間だけで、半年分の在庫が貯まりました。
売上は上がった、けれど、見るのもイヤになるほどの未処理の山。
3種類の売上
売上は、3種類あります。
ほとんど予測できる当社の経常的な売上、時に起きるコントロールできない売上。
もう一つ、特別な売上…なにか特殊な事情があって起こる巨額な売上です。
売上は、少なくては困ります。
ところが、多すぎても、会社はピンチになります。
処理量以上の売上在庫を抱えると、労働力が足りなくなります。
従業員確保に広告費を使い、採用活動に事務系の職員もてんやわんや。
従業員は定期の休暇が取れず、超過勤務手当が必要です。
処理できない未処理在庫を、別な倉庫に移動させるには、
保管倉庫を借りなければなりません。
さらに、トラックに積んで移動させる手間もかかります。
人も在庫も管理は大変。
余計なコストも、かかる。
特別な売上は、利益を圧縮するのです。
「売上がほしかったんだよ。前年よりは上げたい。
そしたらあの消費税特需だ。
今度は、気をつけるよ。タダ量があればイイってことじゃないね。」
ほしい、ほしい、もっとほしい“売上”ですが、
売上には、3種類あることに気をつけて下さい。
目指すのは、コントロールできる経常的な売上の拡大です。
―ノグチ
P.S.
売上は全てを癒す。増えたのが悪いんじゃない、増えたときの対処方法を考えてなかったのが失敗。そう、社長さんがおっしゃいました。
「意外にね、考えてみると今の仕事の流れにムダやら無理があると分かるんだ。」
何時だって売上のことを考えているのが“社長”です。
社長がぜひとも実現したい、会社が成長する数字の見せ方、やり方があります。
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