「今週の一言(いちげん)」第164話「同族経営」社長夫人の立ち位置
「ウチは損してあなたのところと取引しているんですよ。」
「えっ、そうなんですか?年間取引は200万円にもなっていて、それって、少ない取引でしょうか?」
「だって、ウチがやってあげている仕事は、それはもう200万円以上なんですから…。」
「社長さんからは、そんな話しは伺っていませんが……?」
「ウチは損している。」
経営者の親族が、親しい取引先に言った一言。
経理担当者の言葉は、取引先にも従業員にも広がっていきました。
経営者の親族が、経理部門に入っているケースが多くあります。
経理を担当しているといっても、小口現金を扱う業務から請求書の発行や資金繰りまで、
内容はピンキリ!
経営の数字を知っている…、それは=「社長の言葉」
問題なのは、仕事の内容はピンキリ!だとしても、受けとる相手方はピン!と採る。
つまり、会社の経営の数字を知っている立場の人が話している事は、「社長の言葉」として受け止めると言うことです。
誰も社長に確認したりはしません。
真意がわからないまま、広がっていきます。
空想も広がっていきます。
《空想ケースその1》
社長が心許して親族に話した。
話すつもりが無かったけれど、つい思っていた本音が出てしまった。
ウチの社長がココまで思っているなら、私が一言、言わなきゃ!
《空想ケースその2》
永年の取引先だが、そろそろ関係を変えなきゃいけない時期だ。
関係が永いから、取引先の担当とウチの従業員とは友達のようだ。
そこで、社長が直接話したくないことを、親族に言うように指示した。
《空想ケースその3》
もっと、ウチの料金を上げてもらいたいのに、上げてくれない。
何とはなしに夜中、家の台所、キッチンテーブルで女房に愚痴った。
黙って聞いていたけれど…心の中で夫に共感している。
”そうよね、私の使えるお金が少ないのもあそこの会社と取引しているからだ。”
二人の共通の敵は、お金に渋い取引先になっていった。
噂は、3つの空想のお話になっていました。
どれかが本当でしょうか? どれもが、でっち上げかもしれません。
売上打開に繋がる「計算」をしてこそ「経理」
情報の受け止め方は、1つではありません。
ただ1つだけ間違い無いのは、今後この取引先とは離れて行った方がいいと思わせた事。
関係を良くしようとしたら、アプローチは違っているはずと担当者は確信します。
取引先の担当者は、上司に報告します。
情報が伝わる先は、一所ではありません。
そう、取引先の担当者は、他の取引先にも話します。
「いや~先日○○社に伺ったんだけどね~、そこで言われたのが~。」
「で~、あの会社どうなの?あの経理担当の親族だけの問題じゃ無いよね~」
これって、事件です。
何故、事件になっちゃうのかといえば、経営の数字を計算してないからです。
経営の数字を計算しないまま、言葉を発しています。
だって、経理の担当と言われても、計算の授業は、受けたことがありません。
経理の仕事が何を計算するのか、教えてもらえないままに、経理担当になりました。
会計事務所の担当者は、何を聞いても「うちに任せれば、大丈夫です。」とだけ。
仕事のやり方は、先代のやり方を見様見真似。
中小企業で、先代からず~っと永年の取引を続けていると、どこからか取引先の下請けになってしまっている会社があります。
商品も情報もスピードが上がっている、変化しているのに、いまだに経理だけ昔のままです。
売上につながる計算をしましょう。
個別の取引先ごと、商品ごとの、粗利を計算して見て下さい。
すると、極端に利益率が悪くなっている部門が出てきます。
相手先の仕事を黙って引き受けてしまっているケースが非常に多いのです。
本来、経理がすべき仕事は、製品ごとの原価計算や、社長が数値を判断しやすいようにグラフ化する仕事です。経理に本来の仕事をしてもらいましょう。
そうすれば、取引先に勘違い情報が流れることはありません。
PS.
今どきの経理の仕方を行いませんか?計算の仕方を学べば、親族は間違いない社長の右腕になりますよ。