「今週の一言(いちげん)」第140話ありがとう
今年5月15日、夫は緊急入院した。
その日は、従前から彼が予約をした3ヶ月定期検診の日だった。
朝、夫は病院へ、私は事務所にと出かけた。
夕刻 私の携帯電話が鳴った。
「こちら、○○医大病院です。”夫の名前”の奥さんの携帯電話ですか。今、お話しはできますか?それでは、○○診療科目の担当医と替わります。」
初めて電話で話す医師は、ご主人の肺に水がたまっており治療に入る事本人は同意してますが、ご家族は?――Yes
このまま入院となりますが、ご同意をしていただけますか?――Yes
つきましては、入院手続きの為病院に来ていただけますね?――Yes
それは、Yesとしかこたえようがない質問が続いた。
夫の原因と対策
一月ほど前から、夫は咳き込んで、少し苦しいと話した。
結核だの、肺炎だの、咳が出る病気はいろいろある。
レントゲンを撮ると、左旨は白く左肺は全く見えないのだという。咳の原因は分かったけれど、水がたまった原因は検査中だという。
2週間程たったある日、また、病院から電話が入った。
電話口の医師は、従前の医師とは違う。肺の手術が専門という。病状と今後の対策を説明したいので、時間の予定を調整したいと言う。
数日後、夫と私は、病院のカンファレンスルームにいた。
医師は、CTスキャンのモニターを見ながら、
左肺のココに”おできのような“ふくらみが見えると話した。つまり癌だと。
私の対策と結果
私は、その時受けた仕事があった。大きな案件だった。お客様と一緒に、この案件のために長い間準備をしてきた案件だった。
家族の病気は、仕事に関係しない。と切り離すことができる人はいるかもしれない。だけど、私はソノ自信がなかった。多分、仕事に集中できない。
もしかしたら、一緒に過ごせる時間はそう長くないかもしれない。
優先順位は時間が基準だ。
数日後、私は、この案件には力がある事業社の方が有効だから紹介したい旨を伝え、顧客にその事業社の契約を薦めた。
顧客は何を言っているのだ、ナゼだ。
答えはただ、申し訳無い、こちらの業者の方が、私のチームより成果が大きい。その成果は、保証できます。お客様のために選択しました。と
お客様は不信感をいだいたにちがいない。
しかし、お客様は提案を受け入れてくれた。
私も大きなチームの一員として、打ち合わせには参加し続けた。
自分にエールを送る一言
9月下旬、ほぼ案件の成果が見えてきた。
お客様もご家族も結果に満足したように笑顔になった。
その日、うち合わせの後半、お客様が、大手業者に次の案件を依頼した。
そうだよね。当然そうなる。自分からおりたのだから…。
紹介しておきながら、自分に仕事が回ってこないのが悲しい悔しい…。
自分に力がないと弱音の白状しておきながら…。ちっちゃいなーー私。
お客様には感謝だ。
不信でまるごと仕事一切られても仕方がない状況だった。なのにここまで使ってもらった。だからお礼の言葉をいった。「今回の案件、関わらせていただき、ありがとうございます。」
ありがとうって、気持ちをなだめる。言った本人が一番救われる。
PS.
手術後、夫は化学療法を受けながら、普通の生活を取り戻した。意外に長生きしたりして…。
この4ヶ月半、私は、いろいろな仕事を手放しました。不信に思われたお客様が出たかもしれない。でもこれから私は大きく前進していけると思っています。(自己満足かもしれないけど)より大きな集中すべき問題は何だろう、と考えるようになったからです。私だけしかできない事はなんだろうと考えるようになったからです。
ある意味夫の病に「ありがとう」