「今週の一言(いちげん)」第124話新しいデザインちらしが、売上アップには効果がない理由
「本当は、自分が飽きてしまっていた。お客様が飽きているから、新しくしないと、というのは自分が飽きてしまったと言う事実を、ちょっとねじ曲げて、お客様のセイにしていた。私が、新しいデザインにお金をつかいたかった、つまり言い訳ですね。」
「売上アップには、新しいチラシにしなければと思って、プランを考えました。
先生も、ちょっとアイデアを出して下さい。女性向けですからね。」
夏のセールを目前にして、新たなチラシを持ち相談に見えた社長さんがいます。
新製品や新事業は、なかなか慎重に判断する社長さんも、こと宣伝となると、なにか目新しいものはないのかと、斬新な写真や、新しいデザインを、広告担当者と作っていました。
『新製品は「それを誰が買うか」を一番先に考えよ。』
偉大な経営コンサルタント一倉定先生の言葉です。
一倉先生は、新商品の難題中の難題は、「販売」である、とおっしゃっています。
新製品は、消費者・エンドユーザーがまだ知らない商品です。
ですから、流通業者も取り扱いをしたくない。
今まで世になかった商品は、市場そのものがないのです。
キャッチコピーも納得できていないし、販売ルートも定まっていない。
まったくのゼロからの出発、市場を作り上げる事から始める難事です。
実は、チラシも同様です。
同じ商品サービスでも、チラシが違えば、違う商品・サービスの説明文としてお客様の手元に届きます。
お客様の目には、新商品・新サービスの提案として写ります。
これって、実は不利な情報の流し方です。
一度同じ商品を購入したお客様は、その商品に親しみを感じています。
タイミングが合えば、同じ商品の繰り返し購入、リピートを誘えます。
ところが、別な商品として提案されたら…、また大きなハードル購入前の他商品と横並びです。
つまり、商品のチラシも慣れ親しんだデザイン色形の方が受け入れられやすい。
昨年うまく行ったチラシがあるならば、チラシの2017年を2018年に変えればいい。
安定経営には、うまく言っている商品、現場、販売方法は、変えない!これが原則です。
「確かに、昨年のイベントチラシで、今年も予約が入っています。」
「新しいチラシを見せたら、去年のままでイイからと言われて…。」
価格を変えなかったから、割安感があって、今年も予約が来たのかと思ったそうです。
値上げも、値下げも、していない。
定価のままでも、充分お得感のあるいい商品だとお客様の目に写っているのでは?
と話すと、お客様がリピートしていると言うことだと、社長さんも納得されました。
ターゲット層にあったチラシは、ターゲット層に繰り返し、繰り返し、使えます。
合致する市場の全てのターゲットの目に入るまで、繰り返しお伝えしましょう。
たとえば、社長さんが配布したチラシは10000枚だとして、ターゲット層に届いたのは、来店されたお客様の分だけ。
それって、市場の何パーセントですか?
実は、お客様にメッセージが届かないウチに、肝心の社長さんの方が飽きてしまう。
チラシに込められた目標は、集客なのに、社長さんの目が欲しいものは、「新しいデザイン」になってしまうことが、多いのです。
これを教えてくれたのは、ドラゴンコンサルティングの五藤先生でした。
私自身が、自分のキャッチフレーズに飽きて新しい言葉・新しいフレーズを探しました。
「飽きているのは、ご自身では?」鋭い一言に意を突かれました。
経営者の仕事は、お金を払ってくれる顧客を掴まえる事です。
この顧客層を見つけて、顧客層として確保して、購入していただけるように育成するためには、顧客獲得に使うお金と育成する時間が必要です。
新しい商品で新しい顧客層を掴まえる、難題中の難題。
今のお客様に今の商品を売り続けて、現金を手に入れないと、顧客層の維持管理費用が捻出されません、新しい商品で現金を手にできる保証はどこにもありません。
今のお客様は、今の快適さを手にしたまま、今より心地よいものを試してはみたい。
だから、今のお客様に、新しい商品を試してもらう事は、会社の生き残り長期戦略の1つです。
今のお客様を今の商品で、集めておいてから、新しい商品を試してもらう、が順序です。
順序を間違えてはいけません。
今のお客様が一番集まった効果のあったチラシを使って、次のお客様を集めます。
「う~ん、だから『効果測定』と口うるさく言うんですね、ノグチ先生は」
日々、売上アップにどうつながるか?を真剣に考えている社長さん達は、どうしてもお客様の目を引きたい!
お客様の目を引くもの、それは「驚き」「サプライズ」
ついつい新しいデザインに目がいってしまうのです。
新しいデザインでなければ、お客様も面白くないだろうと想像してしまいます。
大事なことなので、繰り返します。
お客様が買うのは、チラシ掲載の商品、社長が買うのは、「集客」
「デザイン」を買うのではありません。
このチラシで、何人集客できたか?その人数を買うのです。
新しいチラシを作る、大枚はたいて作ってその斬新さを競うのは、お金の有り余っている大手広告代理店のする事です。
中小企業の社長が欲しいのは、このチラシで、何人のお客様を集められたか、という具体的な数字です。
沢山お金を払ってくれるお客様を掴まえたのは、どのチラシでしたか?
売上上位20%のお客様の顧客リストを見て下さい。
紹介、クーポンサイト、新聞、雑誌、そしてチラシ、来店動線はどこからと記載されていますか?
もし、御社の売上規模が5億以上あり、新たに顧客をかたどった「モデル」を作って、そのモデルに合致する新商品・新規事業を立ち上げることができる時間と能力と資金がある会社ならば、私のこのレポートは読むに値しない。
もし、御社が、立ち上がり、生き残りから成長への道を歩んでいる途上だとしたら、セールス=販売が、企業の生命線です。
片時も下方に道誤らぬよう、販売活動に力を注いでいるハズです。
セールスの基本は、お客様との会話を途切れさせないこと。
今のお客様に今の商品をしっかりと売り続ける。
今のお客様に新しい商品を試してもらう。
販売活動に欠かせないチラシが、この役目をになっています。
今まで効果のあったチラシをしっかりとタイミング良く使い続ける。
御社の売上をしっかりアップさせるポイントです。